【事例紹介】希望する職業と適性が一致したケース

先日、ホランド理論のアセスメントを実施したある少年(15歳)のお話です。

ホランド理論についてはこちら

以下、私(大川)と少年とのやり取りの形式でご紹介します。


私:「将来なってみたい職業ってあるかな?」

少年:「うーん、消防士とかかっこいいよね。憧れる!」

私:「へぇ、消防士かぁ。消防士のどの辺がいいなと思うの?」


彼は、消防士の【人の命を救うというヒーロー的な要素】に憧れていること、【優しくて力持ち】というような部分にカッコよさを感じていること、あまり学問には自信がないが、【体を使うことには自信がある】ことなど、彼なりの消防士像と彼自身の特性について口にしました。


私:「なるほどね。んじゃちょっと消防士が向いてる職業かどうかテストしてみようか。」

少年:「まじか〜、向いてなかったらどうしよう?」

私:「う〜ん、不安だよね。とりあえずそれは結果が出てから一緒に考えようよ。」


そして、テストを実施してみました。

その際使ったテストは「VRTカードソート」というテストで、仕事内容が書いてあるカードを【興味】、あるいは【自信】で分類してスリーレターコードを導き出すという内容のものでした。

彼は特に迷う様子もなく、カードを分類していました。彼は興味や自信について、割と明確なタイプの人間であることがカードを分類している様子から伺えました。

そして、カードの分類が終了しました。


私:「結構迷いなくカードを分けてたね?」

少年:「そう?まぁやりたいかやりたくないかだから簡単だったかな。」

(この時点で、使用するテストをカードソートにして正解だったなと安堵した)

私:「そうなんだー、結構迷う人も多いよ。」

少年:「迷う人いるの?簡単だと思うけど。」

私:「うん、いるよ、そりゃ。まぁ〇〇君はやりたいこととやりたくないことが割とキッパリしてるタイプなんだろうね。」

少年:「そうなのかな。んで、オレはどういう仕事が向いてるの?」

私:「まぁまぁそう焦りなさんな。んじゃ結果の集計をしてみるけど、その前に質問とか、聞きたいこととかある?」

少年:「いや、特にないです。」

私:「んじゃ、結果を出してみましょうか。」


分類されたカードから、どういう特性があるのかを集計しながら検討しました。


私:「結構こっち全般(彼の場合は【現実的パーソナリティ】)は興味も自信もあるね。」

少年:「まぁ、体動かしたりするのは得意だしね。」

私:「やっぱりそうなんだね。」


それ以外のパーソナリティについても、様々質問したり、各パーソナリティの特性の紹介をし、自分にフィットするか確認しながら1つ1つ検証をしていきました。


私:「よし、出た!〇〇君のスリレターコードは RSEだね。RSEっていうと…向いている職業はねぇ…。(データ検索中)おぉ!消防士入ってるじゃん!!」

少年:「え!マジで!?え?オレ、消防士向いてるの?」

私:「うん、もちろんこの結果が完全に合っているかはもっと突き詰めていかないといけないし、今後の経験とかによって変化していくことも考えられるんだけど、現時点でこのテストをやった結果としては消防士は適職だね。」

少年:「マジかー!オレ、消防士向いてるのかぁ!」

私:「これは結構すごいことだよ。このスリーレターコードっていうのは単純に計算すると120通りのタイプがあるのね。その中のたった1つにぴったりハマるってのはなかなかすごいよね。」

少年:「やべぇ〜、マジか〜。」「オレ、消防士になるために生まれてきたんじゃない?」

私:「ははは(笑)、そうかもしれないね。」


彼の目は爛々に輝いていて、少なからず興奮しているようでした。


少年:「え、他には向いてる職業は何なの?」


この一言は意外でした。

もちろん、他の適職についても紹介するつもりでしたが、彼本人はてっきり消防士が適職で、めでたしめでたし、となると思っていたからです。


私:「うん、他はねぇ…ライフセーバーとか、野生動物の管理とか…」


私は、データベースの中の適している職業を読み上げました。


少年:「ちょっと待って!メモる!」

私:「うん、待ちます待ちます。」


私の読み上げる職業名を彼はテストの結果用紙に記入していきました。

彼が彼自身のキャリアについて積極的になっている姿を見て、私自身はホッとしたのと同時に嬉しいなという感情が心の中にありました。

彼は他の適職についても吟味しているようで、色々な職業に進んだ自分の未来を想像し、夢を膨らませていたようでした。


少年:「うん、なるほどね。マジ、テストやべー!すげー!」

私:「おー、ありがとう。そういってくれると嬉しいよ。」

少年:「超楽しかった!」

私:「そう?それはよかった。ありがとうございました。お疲れ様でした。」

少年:「ありがとうございました。」


前述した通り、この結果が本当に完璧に合っているかは、もっともっと突き詰めていかなければなりませんが、ひとまず彼が消防士を目指す強い動機になったのではないかと思います。

また、彼がこのまま消防士を目指すならば是非ともその夢を実現して欲しいと感じますが、仮に何らかの理由で諦めざるを得なかったり、挫折したりした場合でも、他の彼の特性を活かせる仕事を彼は知っているので、きっと彼の強い味方になってくれると思いますし、そうなって欲しいと願っています。


アセスメントはある程度定期的に実施するのが良いとされています。それはその人の価値観や興味が色々な経験を重ねることで変化していくことがあるからです。

アセスメントは言わば、「心の車検」といった感じでしょうか。


彼ともまたアセスメントを実施して、どういう変化をするか、はたまた初志貫徹なのか、見守りたいと思います。


※キャリアコンサルタントはその倫理綱領により、守秘義務を課せられています。

ですから、無断でクライエントの個人情報や上記のような事例を公開することはありません。

今回は、クライエント本人から承諾(この事例紹介に目を通して頂いての承諾)を得た上で掲載しています。

特性因子研究所

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